べどの日記

落語の記録

代官山オンライン落語夜咄 三遊亭白鳥 無観客高座『桜の夜』

今年3月のSWA公演でネタ下ろしした『桜の夜』。

その公演以来の2回目。

 

SWAのときの創作テーマは『激突』。

自転車に乗っていて縁石(か何か)にぶつかって吹っ飛んだ白鳥師の実話が元。

全体的には、白鳥師の人生を振り返る私小説のような落語になっている。

現代→過去(40数年前の高田)→現代と、時空間を跨ぐダイナミックさは、白鳥落語の醍醐味であり神髄であろう。

また、以前の会でも言っていたが、無観客の暗闇に向かって演じることで集中力が増し、人物や落語に入り込んでいっている。

白鳥師は本当に、無観客時代の申し子だ。

 

後半のトークでも繰り返していたが、昨年から何度か死にかけて(金目鯛の骨が喉にささる・自転車で転んで路上で気を失う)、また50代後半という年齢も合わせて、自分の死や残された時間を強く意識するようになったという白鳥師。

「あと10年」と噺の中でも言っていた。

そんなことがあり、「作品を残す」ことに積極的に取り組んでいる。

後輩に創作したり、Amazonで売り出したり、三三師との両極端の会があったり、雲助師に『鉄砲のお熊』を演じてもらったり、GoProで自分の口座を録画したり、残したり繋げることに力を入れている。

圓朝師が速記本を残したように。

直近では、異世界落語居酒屋シリーズを始めている。

 

落語家にとっての60代は円熟期であるとよく言われるが、白鳥師の60代はどんな60代だろうか。

師である圓丈師も精力的に活動していたが、白鳥師はもしかしたら史上初めて、第一線で創作し続け代表作を生み出し続けていく60代落語家になるのではないか。

技巧のピークではなく創作力のピークとしての60代。

創作力がますます高まり、枯れることを知らない60代の白鳥師を期待したい。

 

晴れたら空に豆まいて